患者さんからのSOSのお電話には
「歯茎から血が出ます。
それも、口全体の歯茎から出ています。
治りますか?」
或いは
「口の中が痛みます。
歯と歯茎の際が腫れて、血も出ます。膿も出ている気がします」
こんな悲痛な叫びのような内容のお電話が、現実にあります。
歯科医院といたしましては、それなら早く来院されてほしい。
出来れば、少しでも心配の軽いうちに … と思うのですが。
それでは、ある例を挙げてご説明いたします。
この方は、50代女性です。
初めての来院時の写真です。歯茎が腫れて痛む。血も出るという主訴でした。
お仕事が忙しく、ついつい歯医者に受診する機会を失っていた。
同じ時の下顎のみの写真です。見てわかるように、いずれも歯茎の際に汚れがあり、汚れが多いところほどひどく腫れています。
この方は、お仕事の都合で週一回土曜日にお越しになるペースで来院され、院長の診察で炎症を止める処置と衛生士による歯石取り、そして、ご自身での歯ブラシ方法を来院の度にご説明致しました。
最初は歯茎の腫れが強いので柔らかい歯ブラシ(Butler#233)で、歯ブラシ回数は朝食後、昼間、就寝前の3回を目標に、そして、間食後や気が付いたら歯ブラシを持ってもらうようにお願いして一日最大5回くらいまで。
歯磨きペーストは、使用すると泡のせいでご自身の口の中を見なくなるので、必ず必要ではない事をお伝えし、特に夜寝る前の歯ブラシは歯磨きペースト無しで、必ず鏡を見ながら行うようにお願いしました。
症状が比較的治まると、普通の硬さの歯ブラシ(Butler#211)に変えて頂きました。
この時点までで、初診から3カ月程かかっております。
症状が軽減し、歯ブラシの習慣も身につけられたので、この辺で一旦通院を中止し、定期健診として、最初は三か月後に、その後は四カ月を目安に来院して頂きました。
そしてこれは、定期健診でお越しになった初診時の写真です。
若干の腫れはありますが、通院されていない間も、ご自身で口腔内の汚れのコントロールが可能になられたと思われます。
この時の通院でも、週一回のご来院の都度、時には染め出し液を塗布してご自分の汚れを確認していただきながら、クリーニングと歯ブラシの指導を行い、忘れがちな効果的な歯ブラシを復習していただきました。
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